男性泌尿器BLOG

2016.01.29更新

数年前、私の外来に「中学生の頃からペニスが小さくて悩んでいる」と1人の少年(19歳)が受診しました。

 

診察室で初対面のその患者さん、第一印象は、「年齢の割に、見た目が幼い」。 

具体的に言えば、①声がかん高く、②体毛が薄い(髭、腕やすね毛が薄く、陰毛や腋毛も薄い)、③身長167㎝と成長は悪くないが、ポチャッとしており同年齢の子に比べて筋肉量が少ない。 一言で言い表すと、体格のいい小学校4年生という感じでした。

 

しかし、他にとりわけ病的な感じはなく受け答えもしっかりとしており、知的レベルは高そうである。

 

彼の悩みである「小さいペニス」を診察すると確かに小さい。

陰茎の根元から先端までの長さは4㎝、陰毛は産毛程度で、精巣(睾丸)も大豆くらいの大きさで明らかに外性器の発達が不良です。 

 

そして、彼はこれまでに「声変わり(変声)」の経験も無く、ニキビもできた事がないので顔面は幼児のようにつるつるです。

 

これまでに、4か所の医療機関を受診したようですが、「異常はない。そのうち大きくなるでしょう。」と医師に言われ、その間公衆トイレでの立小便も出来ず(隣の人に見られるのが嫌で)一人悩み続けていたようです。

 

彼を診察した際に、私は真っ先に男性ホルモンの異常を疑いました。 

 

専門的な検査を行ったところ、予想通り脳下垂体のホルモン分泌低下による男性ホルモン機能低下(続発性性腺機能低下症)と診断、そして通院の上ホルモン(HCG)の投与を続けていると数カ月後には変声やニキビ、あご髭、陰毛、腋毛等の二次性徴も見られ、肝心の小さいペニスの方も、しっかりと成長し彼の悩みは解決しました。

 

このように性ホルモンの異常を持った患者さんは他にも潜在している可能性がありますが、専門医(泌尿器科、もしくは内分泌科)でなければなかなか診断がつかないと思います。 

 

その後彼は、自分の夢を求めて上京し、今はどうしているのかはわかりませんが、きっとその夢を叶えているような気がします。 

投稿者: 沖縄県のなしろハルンクリニック

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