最近、万年筆がひそかなブームとなっているそうです。
私が幼少時の昭和40~50年代、『入学式のお祝いに○×万年筆を』という内容のテレビCMが盛んに流れ万年筆は入学祝の記念品として定番でした。
しかし、私が中学校になった頃は既にボールペンが万年筆のシェアーを圧倒し、次第に万年筆は世間から影を潜めていきます。
私は平成6年ごろから万年筆を使い始めましたが、きっかけは当時勤務していた中頭病院の院長(現理事長)大山先生が万年筆愛好家で、万年筆で記載された大山先生のカルテ(*当時電子カルテは無く、全て紙カルテでした)は文字の大きさや濃淡、筆圧の変化による線の太さ等の違いが豊かに表現され、診療室の空気までも取り組んでいるかのような素晴らしいカルテであったため、それを模範とし始めたからです。
万年筆は手入れが煩雑だし、きわめてアナログ的な筆記用具ですが使っているうちに自分の手になじむ事でさらに愛着がわき、20年後の今でも筆記用具は万年筆をメインに使い続けています。
現在はほとんどの医療機関で紙カルテは廃止され電子カルテへと移行し、万年筆で『味のあるカルテ』を作成する事は出来なくなりましたがせめて診断書の署名は万年筆で気持ちを込めて記入したいと思います。