男性泌尿器BLOG

2016.10.01更新

副作用とは

岩波広辞苑によれば「医薬の一定の作用を利用して治療しようとする時,それに伴って,治療の目的にそわないか,または生体に不都合な作用が起ること。また,その作用。」とあり、副作用は一般的にはあり難くないものである。 

 例えば、風邪薬には眠気や排尿障害をきたす成分が含まれているものが多く、自動車の運転をする方や前立腺肥大症の方は留意しなければなりません。 

 

ところが、前立腺肥大症の治療薬による「思わぬ副作用」に喜ぶ(?)通院患者さんが泌尿器科の患者さんにはいらっしゃいます。 

 

「最近髪の毛が増えてきました」 

いつの間にか後退していた額にうっすらと産毛が生えてきて、徐々に髪の毛が増えてきたとの事です。前立腺肥大症の治療薬であるデュタステリドは男性ホルモン(テストステロン)の作用を抑制し前立腺肥を縮小させます。 男性ホルモンは薄毛の原因ともなるので、デュタステリドを服用する事により薄毛の進行がストップし、さらに服用を続けると頭髪が増えてきます。(効果はすぐには表れませんが、服用後半年程経過すると実感してくるようです。)また、増毛効果(副作用)には個人差があり、毛根細胞がまだ元気な若い方のほうが反応は良いとされています。 当科を受診した時には排尿障害と薄毛で「老い」を感じていたこの方は、この薬を飲み始めてから、おしっこも出やすくなり、さらに薄毛の悩みも改善され気持ちも若々しく生き生きとして来たとの事です。

 

「EDが改善しました」

タダラフィルは前立腺肥大症の治療薬として2014年1月14日、日本で製造販売が開始された新しい薬です。その作用機序は、尿道や前立腺の平滑筋細胞においてホスホジエステラーゼ5(PDE5)を阻害する → 局所のcGMPの分解を阻害することで平滑筋を弛緩させる → 下部尿路組織における血流及び酸素供給が増加し、前立腺肥大症に伴う排尿障害の症状が緩和される。という事らしいが、これはED改善薬であるバイアグラやレビトラ、シアリス等と同様な作用機序によるものであり、副作用としてEDが改善するのは当然といえば当然の事であります。

当クリニックに通院中のある患者さんは数年前からEDであったが、病院やクリニックに行くのも恥ずかしくて諦めていたところ、前立腺肥大症に対してタダラフィルを服用開始した頃から「朝立ち」が見られるようになり、ついにはEDも改善したとの事である。思わぬ効果に非常に喜んでおり、まさに一石二鳥のありがたい副作用を持つ薬と言えます。

 

前立腺肥大症の診断には検査が必要

前立腺肥大症、薄毛(AGA:男性型脱毛症)、ED(勃起不全)は中高年男性に好発する疾患ですが、AGA,EDの治療は保険適応となっておりません。上記薬はあくまでも前立腺肥大症のお薬です。前立腺肥大症の診断には、①症状確認(IPSS等の問診表)、②超音波検査、③尿流量測定検査(排尿量、排尿速度、排尿時間、残尿量を機械で測定)等をしっかりと行う必要があり、特にこれらのお薬は前立腺肥大症の診断根拠となる検査をおこなわずにお処方する事はできませんのでご了承ください。 かかりつけ医におねだりして検査もせずに処方してもらうと、その医療施設もお国からペナルティーを受けますので注意してください。 

 

投稿者: 沖縄県のなしろハルンクリニック

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